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「諦めなくてよかった」と思える人生を。

「諦めなくてよかった」と思える人生を。

命・健康を支える

公開日:2026.11.02

更新日:2026.11.02

「バツッ」

高校2年生の夏。サッカーの復帰戦で、足立凌太さんの膝から音がした。

前十字靱帯の完全断裂。

大好きだったサッカーで、思い描いていた未来を失った。

「あのとき、最初から別の病院を受診していたら」

その悔しさが、理学療法士を志す原点になった。

そして今、足立さんが目指しているのは、

「姫路で最後にたどり着く整体」

自分と同じように、身体の不調で夢や可能性を諦める人を一人でも減らしたい。

そんな足立さんの想いを感じながら、このテーマソングを聴いてほしい。

そして、一度は夢を絶たれたサッカー少年が、誰かの人生の可能性を支える存在になるまで。

【GROWTH】

「姫路で最後にたどり着く整体でありたい」

Recovery salon groupの姉妹店「Recovery salon TAP」を営む足立凌太さん。

整体を訪れる人の中には、これまでに何軒もの施術院を巡り、それでも身体の不調が改善せず、最後の望みを託してやってくる人がいる。

そんな一人ひとりの期待に応えるため、足立さんが大切にしているのは、技術だけではない。

目の前の人の人生を預かっているという責任。そして、自分自身を過信せず、学び続ける姿勢だ。

その原点をたどると、高校時代に経験した大きな挫折と、自分の未熟さを突きつけられた新人時代、そして、幼い頃から心に刻まれてきた両親の言葉があった。画像

最後の砦

Recovery salon TAPという店名は、意外にも、あるラジオ番組とビールがきっかけだった。

当時、ラジオで耳にした大阪の番組「イブニングタップス」。その響きが気に入り、もともとビール好きだったことも重なって、「TAP」という名前が浮かんだという。

ビール業界で「Tap」とは、ビールを注ぐための注ぎ口のこと。タップの数だけ異なる種類のビールが用意され、お客様は自分の好みに合った一杯を選ぶことができる。

そこに足立さんは、自身の施術への思いを重ねた。

人によって、身体の状態も、抱えている悩みも違う。だからこそ、決まった施術を一律に提供するのではなく、その人に合った方法を組み合わせ、オーダーメイドの施術を届けたい。

そんな思いが、店名に込められている。

現在、TAPには40〜50代を中心に、男女を問わず多くのお客様が訪れる。

その中には、ほかの整体院に通った経験がある人も少なくない。

「施術を受けた直後は楽になるけれど、また元に戻ってしまう。そういう経験をして、根本的に身体を変えたいと思って来られる方が多いですね」

求めているのは、その場限りの変化ではない。

自分の身体ときちんと向き合い、長い目で見て本当に良いものを求める人たちだ。

だからこそ、足立さんはTAPを「姫路で最後にたどり着く整体」にしたいと考えている。

何軒も巡ってきた人が、ようやく自分の身体を任せられる場所に出会う。

「ここに来てよかった」

そう思ってもらえる場所であるために、足立さんは一人ひとりと向き合っている。

サッカー少年の夢を奪った、膝の大けが

足立さんが身体に関わる仕事を志した背景には、自身の苦い経験がある。

小学3年生からサッカーを始めた足立さんにとって、サッカーは大切な存在だった。

しかし、高校2年生の4月。総体を前にした試合中、先輩との接触で膝を負傷する。

診断は、前十字靱帯の部分断裂だった。

主治医から告げられたのは、3か月ほど安静にし、「全力で走れるようになれば復帰できる」という説明だった。

その言葉を信じ、足立さんはリハビリに取り組んだ。

3か月後、再び走れるようになった。

足立さんは、監督に頼み込み、8月に二軍の試合で復帰する機会を得る。

ところが、復帰戦で悲劇が起こった。

プレー中に切り返した瞬間、膝から「バツッ」という音がした。

続いて、骨がずれるような「ゴリッ」という感覚。

前十字靱帯が完全断裂した瞬間だった。

「やっちまった、というより、『全力で走れるようになれば復帰できるって言ったのに、話が違うじゃん!』という気持ちでした。全力でプレーできないじゃん、マジかって」

痛みとショックで立ち上がることもできなかった。

復帰できると信じて努力してきたからこそ、その現実をすぐには受け止められなかった。

別の病院である橋本じゅん整形外科を受診すると、そこで初めて、手術とリハビリが必要なけがであり、復帰まで8〜10か月かかると説明された。

当時、高校2年生の8月。

「え、総体に間に合わなくない?」

思わず、そんな言葉が出たという。

その後、紹介を受けた神戸のあんしんクリニックで手術とリハビリを受けることになった。

そこで出会った理学療法士の存在が、足立さんの人生を変えていく。

術前から術後まで、担当者は何を目指し、何のために、どのようなリハビリを行うのかを明確に示してくれた。

その姿勢に、足立さんは安心感を覚えた。

そして、約半年後、サッカーに復帰することができた。

だが、夢見ていた高校サッカーの最後は、思い描いたものとは違っていた。総体ではベンチ入りを果たしたものの、試合に出場することはないまま引退を迎えた。

「あのとき、最初から別の病院を受診していたら」

そんな後悔が、心に残った。

もちろん、過去に戻ることはできない。

それでも、自分と同じような思いをする人を、一人でも減らしたい。

自分の身体に何が起きているのかを正しく理解できず、望んでいた未来を失ってしまう人を減らしたい。

自分が味わった悔しさを、誰かの未来を守る力に変える。

高校時代の挫折は、やがて理学療法士としての原点になった。

「自分が治せると思うな」

体育大学でアスレチックトレーナーの分野を学んでいた分、理学療法士の資格取得のために通った専門学校でのスタート時点でアドバンテージがあった。

努力すれば結果が出る。自分は他の人よりできる。

そんな自信が、いつしか慢心に変わっていたのかもしれない。

理学療法士として働き始めたのは、千葉県船橋市にある整形外科だった。

所属部署には、約80人もの理学療法士がいた。

そこでの新人時代、足立さんは二人の恩人から、忘れられない言葉を受け取ることになる。

一人は、当時の教育担当者。

「自分が治せると思うな」

もう一人は、師匠であり、現在も関わりのある中澤さん。

「つまらない理学療法士になったな」

どちらも、決して優しい言葉ではない。

特に中澤さんの言葉は、足立さんにとって大きな衝撃だった。

実習生だった頃の足立さんは、ほかの人とは違う視点を持ち、自分なりの芯がある人間だったという。

ところが、就職後は職場のやり方や考え方に染まりすぎてしまった。

その結果、誰がやっても同じような、個性のない理学療法士になってしまった。

中澤さんには、そう見えていたのだ。

しかし、この二人の言葉が、今の足立さんの在り方をつくっている。

「自分の現在地をちゃんと知ることが大事なんです。できていないことを認めないと、成長できない」

自分はできる。自分は分かっている。と、うぬ惚れることで、学ぶことをやめてしまう。

今の自分に満足せず、足りないものを見つめ、深く学び続ける。

その大切さを、足立さんは身をもって知った。

目の前の一人を担当する意味

船橋の整形外科で働いていた頃、足立さんは先輩から、もう一つ大切なことを教わった。

「この職場だけで80人近く理学療法士がいる中で、担当する意味をちゃんと考えろ」

理学療法士が大勢いる環境では、患者さんは多くの専門家と出会う可能性がある。

その中で、なぜ自分がその人を担当するのか。

自分に任せてもらうことに、どんな意味があるのか。

先輩の言葉は、足立さんに、仕事の本質を問いかけていた。

「その人の人生を預かるって、そんなに簡単なことじゃないぞ、という意味だったと思うんです」

この言葉は、今のTAPでの仕事にもつながっている。

姫路には、自分よりも知識や技術が優れた施術者がいるかもしれない。もっと安い料金で、効率よくサービスを提供しているところもあるかもしれない。

それでも、お客様は数ある選択肢の中からTAPを選び、自分の大切なお金を払って来てくれる。

その事実を、当たり前にしてはいけない。

「数あるサロンの中から選んでもらえることに、まず感謝しています。一回一回、本気で向き合えているのか。そこは常に自分に問いかけています」

足立さんが大切にしているのは、目の前の人の人生を少しでも良くしたいという気持ちだ。

施術の時間だけではない。

その人が何に困り、何を望み、どんな生活を取り戻したいのか。

一分一秒を、その人の人生を良くするために使う。

それが、足立さんの考える仕事への責任だ。

身体の施術は、専門家でなければ技術の良し悪しを判断しにくい部分もある。

だからこそ、技術を磨くことに加えて、相手が何を感じ、どんな思いで来てくれたのかを考え抜く。

「ほかとの違いを感じてもらうには、やっぱり、どれだけ思いを持って関わっているかが大事だと思うんです」

技術だけでは測れない、人と人との関わり。

そこに感動が生まれると、足立さんは信じている。画像

「人にされて嫌なことはするな」

足立さんの人との向き合い方には、幼い頃に父親から教わった言葉も深く影響している。

「人にされて嫌なことはするな」

その言葉を聞いたのは、幼稚園の頃だった。

自分の言動が、相手にどのような影響を与えるのか。

相手の立場に立って考えること。

それは、今の足立さんにとっても、人と関わるうえでの大切な基準になっている。

父親は、足立さんが中学3年生のときに亡くなった。

一緒に過ごせる時間は限られていたが、父親から受け取ったものは、今も心に残っている。

幼い頃の足立さんは、よく泣く子どもだったという。

そんな足立さんを、父親はある日、午後3時頃にお風呂へ誘った。

そこで伝えてくれたのが、こんな言葉だった。

「喜怒哀楽があるのは良いことなんだよ。怒りたいときは怒ってもいいんだよ」

自分の感情を表に出すことは、決して悪いことではない。

悲しいときには悲しいと言っていい。怒りたいときには、怒りを感じてもいい。

そんな父親の言葉が、足立さんが自分の気持ちや感情を大切にしたり、意見を伝えられるようになるきっかけになった。

幼い頃に受け取った教えは、今も足立さんの中で生きている。

「情けなくなんかないで」

父親を亡くした後、足立さんを支えてきたのは母親の存在だった。

「父親がいないからできない、というのは絶対に思ってほしくなかった」という話を母親から最近になって聞いた。
そんな想いを強く持って関わってくれたからこそ、3人兄弟はやりたいことに全力でチャレンジ出来たのだと言います。

強く見える母親も、足立さんにとっては、ただ強いだけの人ではない。

社会人になってから、自分の未熟さを痛感し、落ち込んだことがあった。

どうしようもなく情けない気持ちになり、母親に電話をかけた。

泣きながら口にしたのは、こんな言葉だった。

「情けない息子でごめん」

自分が思うようにできないこと。母親に誇れる自分ではないと感じたこと。

さまざまな思いが込み上げていたのだろう。

そんな息子に、母親はたった一言、こう返してくれた。

「情けなくなんかないで」

その言葉に、足立さんは救われた。

できていない部分があっても、失敗しても、息子の価値は変わらない。

そんな母親の思いが伝わってくるような一言だった。

「だからこそ、母親に自慢してもらえる息子でありたいと思っています。母にしてもらったことは、全部返したいんです」

言葉にすると、簡単なことかもしれない。

しかし、これまで自分を育て、支えてくれた人に、どれだけの恩返しができるだろうか。

足立さんの言葉からは、両親への深い愛情と感謝が伝わってくる。

欲しい言葉をかけてくれた父親と母親。

その存在は、足立さんにとって誇りであり、これからも大切にしていきたいものだ。

人の痛みに寄り添い、相手の気持ちを考え、簡単には諦めない。

その姿勢の根底には、自分自身が両親から受け取ってきた愛情があるのかもしれない。

「できない」と決めつけない未来を

足立さんが整体を通して実現したいのは、単に肩こりや腰痛を改善することだけではない。

その人が身体の不調によって諦めていたことを、もう一度できるようにすること。

そして、人生の可能性を広げることだ。

TAPが掲げるのは、「10年後も肩こり、腰痛を感じない体づくり」。

身体の悩みが一つでも解決すれば、生活が変わるかもしれない。

出かけることが楽しくなったり、趣味を再開できたり、家族との時間をもっと楽しめるようになったりするかもしれない。

身体が変わることで、その人の人生そのものが豊かになる。

足立さんは、そんな未来を目指している。

「『できない』って、自分の意志で決めつけてしまっている部分もあると思うんです」

もちろん、身体の状態によっては難しいこともある。すべての悩みが必ず解決するわけではない。

それでも、最初から「できない」と決めてしまうのではなく、どうしたらできるのか、何が足りないのかを考えることはできる。

諦める以外の選択肢を、一緒に探していく。

それが、足立さんの考えるサポートだ。

10年後、TAPに関わった人たちが、自分の身体に不安を抱え続けるのではなく、やりたいことを楽しみ、自分らしい人生を歩んでいてほしい。

そして、いつか振り返ったときに、「あのとき諦めなくてよかった」と思ってもらえたら。

身体の悩みを解決することは、ゴールではない。

その先にある、一人ひとりの人生を豊かにすること。

それが、足立さんの目指す整体の姿なのだ。

応援される人であるために

インタビューの最後に、足立さんは、これから何かに挑戦する人や、自分の人生をより良くしたいと考えている人に向けて、大切にしている考え方を語ってくれた。

「何事も成功するのは、応援してもらう数に尽きると思うんです」

自分一人の力でできることには限界がある。

誰かに応援してもらい、支えてもらい、ときには自分では気づかなかった可能性を教えてもらう。

そうした人とのつながりが、新しい未来をつくっていく。

では、どうすれば応援してもらえる人になれるのか。

足立さんが大切にしているのは、自分自身の在り方だ。

自分はうぬぼれていないだろうか。

うまくいかないことを、誰かのせいにしていないだろうか。

今の自分に何ができて、何が足りないのだろうか。

そうした問いを、自分自身に向け続けること。

自分を大きく見せるのではなく、できていないことを認め、学び続けること。

目の前の相手に責任を押しつけるのではなく、自分にできることを考えること。

その積み重ねが、人から信頼され、応援される人間につながっていくと考えている。

振り返れば、足立さんの人生には、何度も自分の未熟さを突きつけられる場面があった。

高校時代には、信じていた復帰の道が閉ざされた。

理学療法士になってからは、自分はできると思っていた慢心を、先輩や師匠の言葉によって打ち砕かれた。

それでも、その経験を誰かのせいにして終わらせるのではなく、自分に何ができるのかを考え続けてきた。

「自分の現在地点を知って、できることは何かを考える。常に深く学び続けて、在り方にこだわっていたいですね」

その言葉には、過去の経験から得た教訓と、これからも成長し続けようとする決意が込められていた。

自分を過信しないこと。

相手の人生を軽く考えないこと。

そして、目の前の一人に本気で向き合うこと。

目の前の人が、もう一度、自分の可能性を信じられるようになる場所。

そして、関わった人たちが、自分の人生を諦めずに歩んでいける未来だ。

「ここに来てよかった」

その一言の先に、誰かの新しい人生が始まる。

足立さんは今日も、一人ひとりの人生と向き合い続けている。

編集後記

今回のインタビューで印象に残ったのは、足立さんの言葉の根底にある「自分を過信しない姿勢」と「人への誠実さ」でした。

高校時代のけがも、先輩や師匠からの厳しい言葉も、決して簡単に受け止められるものではなかったはずです。それでも、悔しさや未熟さから目を背けず、自分に何ができるのかを考え続けてきた。その積み重ねが、目の前のお客様を大切にする姿勢につながっているのだと感じました。

そして、お父様の教えや、お母様の「情けなくなんかないで」という言葉。人を支える足立さん自身もまた、家族の愛情に支えられてきた一人なのだと思います。

自分の可能性を信じること。そして、誰かの可能性を簡単に諦めないこと。

足立さんの歩みは、身体の悩みを抱える人だけでなく、今、自分の未熟さや壁に悩んでいる人にも、大切なことを教えてくれるのではないでしょうか。

【GROWTH】
歌詞
諦めるな
どこへ行く
まだ終わりじゃない
この雨は晴れるから
汗と涙でぐちゃぐちゃでも
立ち上がれ
強がるな 飾るな
これからが始まりだ

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記事担当ライター

Yuki Yoshino

吉野 結生

人々の人生を丁寧にヒアリングすることで定評あり。ターニングポイントや人の底から湧き上がる想いを拾い上げ、人に愛を持って接することが評判を呼び、口コミで広がり続けている。そのような想いを歌にして日々、多くの人に歌を届けている。現在、企業や事業者にその波が広がってきている。